ヒルトン大阪の宿泊記⑤ インタビュー編
ヒルトン大阪の宿泊記⑤ インタビュー編
こんにちは。
プラチナレジデンツです。
前回はヒルトン大阪のお部屋、ラウンジ、朝食、その他の設備ついてレポートしましたね。
今回はヒルトン大阪のホテルの方に、インタビューした内容をご紹介しようと思います。
ヒルトン大阪では、宿泊管理部次長の井関さんにお話をお伺いしました。
ヒルトン大阪はどういうホテルになりますか?
「ヒルトン大阪は、大阪で外資系のホテルとして、一番古いホテルとなっています。1986年から営業を開始しており、もう34年経過しております。
そういった外資系ホテルとしては、長い歴史の中で、オープン当時から残っているスタッフもおりますので、昔からの伝統とか文化というのがチームメンバー内で築かれていると思っています。
新人もどんどん入ってきてはいるんですが、先輩から新人へ、そういった伝統とか昔から大切にしてきたことを申し送りしながら、時代に合わせてお客様のニーズも変わってまいりますので、それに合わせた形でサービスを提供しております。
そういった意味では、日本初進出という海外のブランドも幾つかありますけど、そういったものとは違うのではないかと思っています。」
ちなみに、今のお話で話されていた、ヒルトン大阪の伝統とか昔から大切にしているものというのは、どういったものになりますか?
「そうですね。
大切にしているものというのはお客様の満足度というのが、安全で安心してご滞在していただける空間を提供するのが私たちの務めですので、そういったものが大事なものですね。
あと、個人的には、我々チームメンバーたちがハッピーな状態でないと、お客様に元気を伝えることができないと思っていますので、私個人としては、まずはチームメンバーに元気になってもらって、お客様にも快適にご滞在いただいて、そのお客様がまたこちらに戻ってきていただくことによって、ホテルのビジネスとして良いサイクルって言いうのを続けて行ければと考えています。」
チームメンバーに満足してもらうために、具体的にはどんなことをされてるんでしょうか?
「こちらのトレーニングを希望する新人スタッフがありますが、ホテルの中では、よくヒルトン学校と言われるように、他のブランドに行ったスタッフからも、ヒルトンにいたときの方がトレーニングの環境が整っていたという話をよく耳にします。
そういう意味では新人のスタッフも安心して学んでいけるような環境だと思っておりますのと、あとは、チームメンバーに対する認識、声掛けですとか、普段のコミュニケーションを密にすることというのが、大切かなぁと思っています。
もし、何か失敗した時にはフォローアップ、成功した時には「良くやったね。」というのはメールなどのツールを使ったりとか、シフトのブリーディング時に発表してモチベーションを高めてもらうとか、そういったことをやっています。」
それによって、スタッフから良い評価は返ってきてるんですかね?
「そうですね。毎年、チームメンバーの強化週間というのも行っておりまして、2か月くらいの期間に頑張ってるメンバーを認識しようというキャンペーンも行っておりますし、世界的にヒルトンはございますが、グローバルウィークというのもあり、例えば、この週はハウスキーピングのスタッフに注目しようとか、そういったものがあります。」
なかなか面白い取り組みですね。それは各ホテルごとにではなく、日本で行われているということですか。
「いえ、世界です。」
それでは、ヒルトン大阪独自で行われているというものは特になく、グローバルな視点で行われている感じなんでしょうか?
「先ほど申し上げた2ヶ月くらいのレコグニションしましょうというキャンペーンも世界的に取り組んでいることになります。」
ヒルトン大阪として何か特徴があったりはしますか?
「グループで動いていて、ブランドスタンダードというのがどこでも同じものを提供しようという信頼にもつながりますので、足並みをできる限り揃えるということが、ひとつの強みなんじゃないかなと思っています。」
逆に、地域の特色とかを出さないのがヒルトン流ということなんですかね?
「特色を出さないのがヒルトンではないんですけど、ただ、大阪だけでやっていることと言えば、例えば、グローバルでやっていることが、大阪ではちょっと形を変えているとか、少しの違いというのは出ていると思います。」
ヒルトン大阪ならではの特色と言うか、ここを見てほしいというアピールポイントはありますか?
「ヒルトン大阪らしいところは、文化伝統がチームメンバー内に根付いているので、そのスタッフたちが醸し出す雰囲気というのが大阪らしさだと思います。
あまりホテルマン、ホテルマンしておらず、少しくだけた会話などもお客様と楽しませていただいているという点においては、お客様からのフィードバックでいただきますけれど、他の土地でホテルに泊まるよりも、大阪は適度にリラックスした会話を楽しむことが出来るというお声を頂戴することがあります。」
そうですね。やっぱり、大阪ならではの人懐っこさと言うか、程よい距離感が格式ばったホテルでもよそよそしくないと認識されてるんだと思うんですが、最近、大阪もけっこうホテルが増えてきてるじゃないですか。そういう中で、ヒルトン大阪はどういった位置づけで考えてらっしゃるんですか?
「うーん、逆にお客様から見てヒルトン大阪はどういう位置づけになりますか?」
そうですねぇ。やはり、古くからあるので、新しいホテルとは違って伝統があるというイメージと、最近、大阪にもラグジュアリーなホテルっていくつか出てきてると思うんですけど、そういったところとは、また少し違うという感じですね。
他にも同じようなクラスのホテルはいくつかあると思うんですが、他のホテルとは違う差別化みたいなものはありますか?
「ラグジュアリーと申しますと、シスターホテルのコンラッド大阪が700 M 先にありますので、方向性としては、コンラッド以上のラグジュアリーというのは、なかなか難しいですね。
ただ、コストパフォーマンスを考えたフルサービスという形で、お客様にはご満足いただけるようなサービスを心がけています。
後は、一昨年に改装させていただいた、こちらのエグゼクティブラウンジとかエグゼクティブフロアのご利用時のご満足というのを私どもとしては自信を持ってご案内させていただいています。」
ヒルトン大阪自体が30年経っているということで、建物が古くなっていると思うんですが、改装自体は頻繁なペースで行われているんですか?
「そうですね。改装自体がマスタープランと呼ばれている、客室階とレストラン、宴会場、ちょうど2020年の6月に終わったフィットネスセンターの改装ということで、今年、全ての改装が完了したということになります。
エグゼクティブラウンジも元々32階にご用意していたんですが、お客様のエグゼクティブラウンジに対するニーズが年々増えてきて、場所自体がそんなに大きくなかったので、大きなエグゼクティブラウンジということで、こちらの3階に移ってきて、2018年にリニューアルオープンいたしました。」
結構、高層階の方が景色が良かったという話も聞くんですが、やはり場所が小さいとなかなか入れなかったり、待ち時間が長くなったりということが多くなると、利便性が良くないのかもしれませんね。
3階になって場所が広くなったぶん、人は多く入れるようになったとは思うんですが、その分、運用が大変だったりはしないんですか。
「もちろん、その分のスタッフは揃えておりますので、そこは大丈夫です。また、3階の場所にあるというのも、元々32階にあった時はオードブルなど追加の補充があった時の導線がすごく時間がかかって、お客様をお待たせすることになったということもございましたが、その時間の短縮にもつながりました。」
なるほどそういう経緯もあったんですね。でも、開放的な感じで広くて良いですよね。
「光がすごく入ってきて、眺めも決して悪くない、素晴らしい眺めになっているんじゃないかと思っています。」
今は昼間は営業されてないんですよね。今後、通常運用に戻す予定というのはあるんでしょうか。
「2019年は素晴らしい年になりましたが、2020年はこういう状況ですので、少しでも早く2019年に近づけるようになってほしいなと思っています。このエグゼクティブラウンジもフルサービスという形で、早くご提供させていただきたいという風には思っています。」
それは宿泊の稼働率に応じて、営業するかどうかというのは考える、ということでしょうか。それともコロナの対策ということでしょうか。
「コロナの状況もありますし、どちらも含めてということになります。ご朝食に関しましては、やはり、60%、70%になって参りますと、2階のフォルクスキッチンでは行列ができてしまうという状態になります。そういった場合は、エグゼクティブラウンジも朝食は開けざるを得ない、という状況の時は開けさせて頂いています。
先ほどおっしゃっていただいたように、Gotoトラベルで流れとしては、一時的に週末にたくさんご利用頂いておりますが、平日になりますと、どうしても4月、5月の底の状態からは抜けてはいるんですけれども、それでも、やはり平日に関しては昨年とは比べ物にならない状態になっていますので。。。
ですので、まずは一番古くから開業させていただいているホテルとして、存続することが第一と考えています。」
ちなみに、ヒルトン大阪は去年までは、インバウンドの割合というのは結構高かったんですか?
「去年までは、インバウンドとは区切ってはいないんですが、日本人と海外のお客様の割合としては、6割強が海外のお客様でした。その中には、もちろんビジネスのお客様も含まれています。」
そうすると海外からお客様が入ってこないということは、その6割と言うか半分ぐらいはストップということになりますね。それじゃ、やっぱり海外からお客様が来ないとなかなか厳しいですね。
「そうですね。どこも厳しいと思います。」
ちょっと他のホテルで聞いた話だと、『Gotoトラベルが始まって人が増えてきたんですけれども、エグゼクティブラウンジを利用するお客様が増えてきたわりに、一般のお客様があまり増えないので、キャパとしてラウンジが密になってしまって、なかなか対応が追いつかない。』という話をされていることもあったんですが、ヒルトン大阪はそういった割合的にはどんな感じなんでしょう?
「やはり、お客様の動向と致しましては、ラグジュアリーなホテルに結構需要が高まっているという風にお伺いしています。ですので、シスターホテルのコンラッド大阪の伸び率が非常に高くなっています。ヒルトン大阪でもエグゼクティブラウンジ、エグゼクティブフロアの利用が多くなっていますね。やはり、その方がGotoトラベルを使った時のお得感がありますし、なので、それは事実だと思います。」
それでは、やはり一般のフロアのお客様よりもエグゼクティブフロアのお客様が増えてくるので、バランスが崩れているという感じですかね。それは平日も週末も同じような感じなんですか?
「そうですね。あとはスイートルームなんかも……」
東京とか沖縄とかだと、すごい行列でチェックインに何時間も待つとか、朝食も6時半からなんですが、6時40分ぐらいに行ったら、すでにすごい行列ができている、という話も聞くので、やはり場所によって集中しているのかもしれませんね。
客の方はそういったわけで色々人が増えているんですが、スタッフの方はなかなか人が増やせないので、サービスが雑になっていたり、もうリピートはしないとという意見もチラホラと聞くことがあり、結構そのバランスが難しいとは思うんですが、ヒルトン大阪はそういうことはないでしょうか?
「それはもう、どこのホテルもそうだと思います。政府からの補助も頂いて、自宅待機しているスタッフもいるでしょうし、その中でビジネスに合わせて適正な人員を配置するということをどこもやられていると思います。最近の傾向といたしまして、当日にご予約されるお客様の割合というのが、昔に比べてすごく多いので、我々もなかなかビジネスを予測しきれないところがあるんです。例えば、1日に朝から晩までで変わる客室の販売状況というのが、40件以上あったりするんです。例えば、その40件が全てエグゼクティブフロアになった場合、やはり、そちらのオペレーションも変わってきますし、私どもも勉強しながら慣れていかないといけないということだと思います。」
当日にそれだけ動くというのは、何か理由があるんでしょうか?
「どうなんでしょうか。それが私共も読みきれないところなんです。Gotoトラべルを使えば、例えば、県外からお越しのお客様というのは、とりあえず大阪に行こう、と大阪にいらっしゃって、宿はいつでも決めれるというような考えなのかもしれないです。
このような状況ですから、ホテルが取れないということはまずないと思うんですね、ホテルさえこだわらなければ。」
なるほど。では、当日になってキャンセルという話もあるんですか?
「そのキャンセルもあるんですけども、そんなに多くはないですね。」
キャンセル料の関係とかもあるんですかね。
「それもあるかもしれませんね。」
じゃあ、どちらかと言うと、飛び込みで入ってくる方が多いということなんですね。
ヒルトン大阪は長く営業されているようですが、お客さんの層というのは変わってきていますか?
「そうですね。やはり時代と共に変わっていくものだと思っています。昔はラグジュアリーホテルというのはリッツカールトンぐらいだと思うんですね。今ではセントレジスとかコンラッド大阪、本町の方にできるW とか、そういったラグジュアリーの所が増えるに従って、ヒルトン大阪にいらっしゃっていたラグジュアリー志向の方というのが、そっちに流れて行っているということはあるかもしれないです。」
こちらはビジネスの方が多いんですかね?
「そういう意味では、昔の方がビジネスのお客様が多かったです。今はレジャーのお客様の方が多いですね。」
ツアーなどで利用するというイメージはあまりないんですけれど、どちらかと言うと個人で利用されるという感じですか?
「そうですね。個人のレジャーのお客様が多いですね。」
これからは、ホテルとしてどういった人に利用してもらいたいとかっていうのはあるんですか?
「そうですね。やはり、フルサービスという我々のサービスで良いところは、ラグジュアリーのお客様からコストパフォーマンスを考えていらっしゃるお客様全てを満足させて頂ける可能性があるホテルだと思うので、来ていただけるならどなたでもお待ちしております。」
ヒルトン大阪はご家族ですとか、小さなお子様連れのファミリーとかの利用も多いんですか?
「いらっしゃいます。もちろん、シーズンにもよるんですけれども、お盆やお正月とか、この間のシルバーウィークもかなり多くのご家族の方がいらっしゃいました。」
改装も全て終わったという話だったと思うんですが、もし、今からまたどこか変えるとしたら、どこを変えてみたいとかありますか?
「7階にチャペルがございまして、アクアゴールドチャペルという中庭があるような綺麗なチャペルなんですが、7階にはフィットネスセンターもございまして、それが同じ階にあるとの事っていうのが、何か変えれないかなというのは常々思っているんですけれども。。。
後は改装したばかりですので、今すぐにここをというのは浮かびませんけれど。。。
インバウンドのお客様が多かった時っていうのは、荷物とかチェックアウトした後にお土産とか観光に行かれるということが多かったんです。お荷物置き場があるんですけれども、やはり、それは34年前のサイズになっているので、今では荷物置き場が小さいんですね。そこをもう少し大きくするべきだなと思っています。ただ、大きくしても2019年までのレベルに達するまでに、どれくらいかかるかというのは誰にもわからないことだと思いますので。。。」
今までは旅行と言うとレジャーが中心だと思うんですが、これからはホテルに滞在して非日常の体験をしたいと言うホテルステイの考え方も増えてくると思うんです。ヒルトン大阪として何かこういった体験ができるとウリはあったりしますか?
「ステイホームというのが言われる中で、例えば記念日をホテルの中でゆっくり過ごしていただくというアニバーサリープランというのがございまして、ルームサービスでご朝食を召し上がっていただくとか。そういったプランはご提供がございます。」
これからホテルステイを楽しむというお客様も増えてくると思うんですが、どのホテルを選ぶかって言うのをお客様が考える際に、このホテルを選ぶ理由と言うか特色っていうのがあった方が選びやすいと思うんです。そう言った意味でこのホテルのアピールポイントというのはありますか?
「他のホテルを意識して、このホテルにはこういったものがあります、というのはすぐには思い浮かばないですけれども。マーケティングコミュニケーションとかでしたら、何かフレーズを持っているかもしれませんけれど、オペレーションをする側と致しましては、先ほど申し上げた長年培ったノウハウですとか、ヒルトン大阪何の文化ですとか、やはりホテルごとにスタッフの雰囲気というのが違うと思うんですね。なので、10人のお客様に『ヒルトン大阪ってどういうところ?』と聞いた場合に、10人とも違う可能性がありまして、なので、私どもからこれが違うんですっていうのは、今は思い浮かばないです。」
そうすると、新しいお客様というよりも、一度いらっしゃったお客様に満足して、また来ていただくということですね。
「それはホテルとして、頑張らないといけないところだと思います。ファンになっていただくということですね。」
つまり、Gotoトラベルを使って、普段こちらに来られないようなお客さんがいらっしゃった時に、サービスとか設備などを色々体験してもらって、気に入ったから、また、何かのタイミングで来ようという、リピーターを増やして行くというイメージですかね。
他に何かメッセージとして伝えたい事ってありますか?
「コロナで大変だとは思いますけれども、やはり、息抜きというのは皆さん必要だと思いますので、是非、息抜きにいらしてください。」
お忙しいところ、ご対応いただき、ありがとうございました。
2020年11月